[医療費が改定されました] このところ毎年のように医療費の改訂がありますが、今年も、四月から医療費の一部が改訂されましたので、解説いたします。負担増が強調されており、確かに負担金が増える部分がありますが、その一方で負担が減る部分もあります。 <改定のポイント> 1.社会保険の本人で、窓口負担金が2割から3割になりました。 2.薬剤一部負担金が廃止されました。 3.国民健康保険の退職者医療・本人の窓口負担金が2割から3割に引き上げられました。 4.継続療養の制度が廃止されました。 <各項目の解説> 1.サラリーマンや公務員などの社会保険・本人では、窓口負担金が、1割から2割へ、そして今回とうとう3割へ増加してきました。負担割合については、本人と家族の差がなくなりました。 2.従来、2〜3割の窓口負担金に加えて、薬の種類が多い場合(処方数が2以上、外用薬を処方、など)には「薬剤一部負担金」をいただいておりました。老人医療と5歳までの小児では、すでにこの負担金が廃止されていましたが、今回、この制度が全面的に廃止され、薬剤一部負担金はいただかないことになりました。このため、今までこの負担金を支払ってきた患者さんでは、その分、窓口での支払いが減り、安くなります。2割から3割に増える社会保険・本人でも、この負担金の分は安くなります。 3.退職に伴い社会保険から国民健康保険にかわった人が加入している退職者健康保険の本人では、従来は2割の負担でしたが、4月から3割負担となります。負担割合については、本人と家族の差がなくなりました。 4.社会保険・本人が退職する際に、それまで治療を受けてきた病状について、退職後も一定期間、社会保険を継続したい場合、「継続療養」という制度がありましたが、4月からこの制度が廃止となりました。従来、継続医療で扱ってきた病状については、今後は別の健康保険での受診が必要となります。 <変わらない部分> 今回の改訂は部分的なものですので、従来と変わらない部分もあります。 *薬価(薬の公定価格)や検査などの保険点数は、今回は改訂がなく、従来と同様です。来年の4月に改訂が予定されています。 *70才以上の1割ないし2割の負担、3才未満の2割負担、については変更ありません。 <補足説明> 現在、わが国の医療費は毎年約1兆円ずつ増えていると言われています。2000年の医療費総額は29.1兆円で、国民所得(GDP)に占める割合は7.5%でした。これは、先進国の中では決して高い数字ではなく、第一位の米国(14%)の約半分です。それでも、高齢化社会が急速に進む我が国では、今後も医療費は増加しつづけるものと予想され、否応なしに国民の負担が増えることになります。 医療費の負担割合は、当分の間、3割で続いていくものと思われ、これ以上の引き上げはないものと考えますが、今年は社会保険料が総報酬制に移行するので、賞与からの保険料の天引きがかなり増えることになり、いろいろな面で国民の負担が増加していきます。 昨年の新年号の「クリニックだより」(第46号)に、[ 負担増! その前にできることは? ]と題して解説しましたが、医療費を節約する方策はいろいろあります。負担増を嘆いてばかりではしかたがないので、限られた医療費を有効に活用して、なおかつ、一人一人が自分の健康を維持増進するように考えていきましょう。 [皆様へお願いと連絡事項] <検診・人間ドックをうけましょう> 新年度が始まり、今年も職場検診や市町村の住民検診・人間ドックが始まることと思います。なるべく毎年続けて受けるようにしましょう。結果が出たら、是非、かかりつけの医師にお見せください。また,結果について疑問点があれば、ご遠慮なくご質問ください。もし,健康診断の機会がなかなか得られない方は,当クリニックでも独自の健康診断や人間ドックをおこなっておりますので,ご相談ください。 <保険証をお見せ下さい> 今年も新年度が始まり、四月一日から,国民健康保険の保険証が更新されています。今回は町村合併により「南アルプス市」が誕生し、保険証が全く新しくなっている患者さんも多いと思います。今度おいでになるときは,新しい保険証を受付にお見せください。また,この時期は就職,退職,転職などの多い季節です。それに伴って保険証が変わるはずですので,新しい保険証がお手元に届きましたら,是非,受付にお見せ下さい。 |