[皆様へお願いと連絡事項]
*夏は、おとなも子供も体調をくずしやすい季節ですので、十分に気をつけて 夏を無事に乗り切りましょう。睡眠をじょうずに取れるように工夫し、食べ物や飲み物に注意して胃腸の調子を整え、食欲を維持しましょう。

*夏は、食中毒の多い季節ですので、要注意です。
クリニックだより第28号に、恐ろしい食中毒をおこす「O−157」について特集記事を書いてありますので、参考にして下さい。

*屋外ですごす時には、熱射病、日射病、脱水症、過度の日焼け、虫さされ、などにも注意しましょう。
クリニックだより第44号に「夏を乗り切ろう!小児科篇」を書いてありますので、参考にして下さい。

*夏は、レジャーや帰省で旅行に出かける機会が多くなります。次のような場合、前もってご相談下されば、お役に立てると思います。
 ☆夏かぜ、胃腸炎、などの病気にそなえて手持ちの薬がほしい場合
 ☆酔い止め薬、がほしい場合
 ☆女性では、旅行の時期に生理が重なるのを避けたい場合、月経周期調節剤
  がありますので、早めにご相談下さい。

*当クリニックでは、生活の質の向上のために、次のような点でお役に立てるよう、準備しておりますので、お気軽にご相談下さい。
 ☆禁煙補助薬(ニコチンのパッチ剤): 禁煙を成功させるために、
  ニコチンのパッチ剤を皮膚に貼ります。
  ニコチンのガムより使いやすいと思います。
 ☆低用量ピル(経口避妊薬): 生理がとても重くてつらい方にも有効です。
 ☆バイアグラ(勃起不全治療薬): こういうことも気兼ねなく相談できる、
  かかりつけ医でありたいと思います。

*今年6月1日から、健康保険法と老人保健法の一部に改定がありました。再診料が、それまで、その月の1回目受診; 81点、2〜3回目; 74点、4回目以降; 37点、というふうに逓減制になっていたものが、今後は一律に73点となりました。
また、外来管理加算が、その月の1〜3回目の受診では52点(老人医療では57点)、4回目以降では26点(29点)、となっていたのが、一律に52点(57点)となりました。

解説シリーズ[心を考える](その1)注意欠陥多動性障害
 平成9年新年号の第26号から始まった解説シリーズ「最近の癌事情」は、平成14年夏の号の第48号(その16)をもって終了とさせていただき、今回から新しいシリーズを開始します。
 心の問題は最近関心が高まってきていますが、大きなテーマですし、私自身にとって関心はあっても専門ではありませんので、勉強しながらこのシリーズを進めていきたいと思います。最初に「うつ状態、うつ病」といった大きい課題を始めてしまうと、それだけで何回もかかりますので、さしあたりは1〜2回ごとに完結できる課題で始めてみたいと思います。

<注意欠陥多動性障害、ADHD、とは>
興味のあることには集中可能だが、きらいなことや、よくわからないことにはほとんど関心を示さず、落ち着きのない子供のいることが以前から知られていました。1950年代には、「多動症候群」という病名が使われていました。1960年代には、落ち着きを欠いて、手先が不器用で、集中力・持続力が乏しく、学業成績が知的水準に比べて低く、行動異常を生じやすい子供に、「微細脳機能不全」という診断がつけられていました。最近では、注意欠陥多動性障害という病名が使われています。 最近、学級崩壊ということばをよく見聞きしますが、その要因の一つにあげられるのが、この注意欠陥多動性障害です。Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder(ADHD)を和訳したことばです。以後、この文章の中ではADHDを用います。その特徴は、(1)しきりに動き回る(多動性)、(2)注意力が散漫である、(3)非常に攻撃心が強い、の3点です。発症は幼児期から見受けられ、早ければ3〜4才で診断され、多くは小学校にはいってから診断されます。診断されるきっかけは、学校生活にうまく適応できない、というものが一般です。

<めずらしい病気ですか?> 
アメリカでは、小学校の児童の3〜5%に見られ、男児に多い、といわれています。我が国では、2002年10月23日の新聞に記事がでていましたが、国による大規模調査によるとADHDの疑い2.5%、一学級に一人の割合、とのことで、決して少なくはありません。

<診断はどのようにしますか?>
検査で診断できるわけではなく、児童の様子を丹念に観察・分析します。

「注意力の散漫について」は次の項目のうち6項目以上が6か月以上にわたり、当てはまる場合;
*勉強や作業に集中できなかったり、不注意からミスを犯す
*課題や遊びの最中に、集中力が途切れてしまう
*話しかけられているのに、聞いていないようにみえる
*指示に従えず、学業、用事、作業をやりとげられない(反抗しているわけでもなく、指示が理解できないわけでもないのに)
*課題や活動を順序立てることが困難である
*学業や宿題など、精神的な努力を持続させなくてはならない課題は、やらないか、やっても嫌々やる
*課題や活動に必要な物をよく紛失する
*外から何か刺激があると、すぐに注意をそらされてしまう
*その日にやらなくてはならないことを、忘れてしまう

「多動性・衝動性について」は次の項目のうち6項目以上が6か月以上にわたり、当てはまる場合;
*落ちついていられず、手足をもじもじさせ、キョロキョロする
*教室内やそのほか、座っていなければならない状況で席を離れる
*そうすべきではない状況で、やたらと走り回ったり、高い所へ登ったりする
*静かに遊ぶことが苦手である
*まるでエンジンで動かされているかのように行動する
*しゃべりすぎる
*質問が終わるのを待たずに、出し抜けに答え始める
*自分の順番が待ちきれない
*突然、他人のじゃまをする、たとえば、会話やゲームに割ってはいる

<実例をあげてみます> 
A君は、元気のいい7才の男の子ですが、両親の心配の種です。他の兄弟にくらべて、何度も同じことを言い聞かせなければなりません。服を着たり脱いだり、おもちゃをかたづけたり、何をするにも手を貸さなくてはなりません。宿題、毎日の用事、人の話には、よほど関心がないかぎり、注意を払いません。食事中や家族でテレビを見ている時も、じっとしていることができず、部屋じゅうを駆けまわり、家具によじ登ります。親が話すことを終わりまで聞けず、途中で割り込んでは結局違うことを話し始めます。親が、何かをしてはいけないと言うと、怒り出し、泣き言をいい、反抗的になります。自分の要求をいつまでもくりかえし、かんしゃくを起こします。他の子供達が遊んでいるところへ、彼らが何をしているのか、自分を仲間に入れてくれるのか、など考えずに突進していき、他の子が自分のいうことを聞かないと怒り出し、狂乱状態となります。無作法だし、わがままだし、近所の子には「変な子」と思われていて、友達がいなくなってしまうのではないか、と親は心配しています。学校では、知能の割には勉強の内容が理解できず、成績は下がっていきました。授業中も、教師の話すことに集中することがむずかしく、そばの子に話しかけ、いたずら書きをし、あるいは立ち上がって動き回り、教室のうしろにある水槽をのぞきに行ったり、ごみ箱や鉛筆削り器の所へ頻繁に行きます。親は、しつけを厳しくしようとしましたが、うまくいきませんでした。つい、A君の振るまいを叱ってしまい、いつもいがみあいになってしまいます。両親は、途方に暮れて、小児精神科医のところへ相談に行きました。    (以下、後半は次号へ)


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